毎年、ドラフト会議で名前を呼ばれた選手はプロ野球の門を叩き、スターになる階段を上がる権利を得ます。球界の第一線を去るときは笑って去るのか、悔しさを滲ませたまま背を向けるのかはその後のプロ野球選手人生に拠るのでしょうが、もう笑うことも無念を滲ませることもない球界を去った選手がいます。元オリックス・バファローズ外野手、小瀬浩之選手です。
右投げ左打ち、俊足巧打のアベレージヒッターとして入団一年目から二軍を中心に活躍していた小瀬選手は7月に一軍へと昇格するとレフトのレギュラーを勝ち取り、主に相手の先発が右の時に出場しています。とにかく打率が良く、広角にヒットを打ち分けられるセンスの良さ、強肩と広い守備範囲を売りにした外野守備からイチロー二世の呼び声も高い選手でした。現にプロ2年目の2009年キャンプ前にはイチロー選手との合同自主トレに励んでおり、開幕一軍は不調のため逃したもののシーズン半ばで昇格して以降は安打を積み重ね翌年以降の活躍を期待させました。
しかし、2010年の春季キャンプ、悲劇は起こります。キャンプ逗留先のホテル10階の自室、そのベランダから転落して死亡しているのが確認されました。24歳の若さで球界に、この世に別れを告げなくてはならなかった小瀬選手の背番号41はオリックス・バファローズにおける欠番の一つになっています。